長良川を伝え、人びとと交わる、若手漁師の新たな挑戦
長良川のことを伝える。
この取り組みを続けている若手の川漁師がいます。
岐阜市の長良川でアユを捕っている平工顕太郎さんです。
忙しい漁の期間、また漁がないときも、
仕事の合間をぬってアユの生態や魚を捕まえる漁法、
川漁師としての生き方などをいろんな場で話し、
川の魅力と自然の大切さを子どもから大人まで、
多くの人びとに伝えています。
川漁師の目線から、漁のこと、生き物のことを伝えます
昨年の秋、岐阜市の主催で「学生環境会議2017」が開かれました。
この会議は、高校生や大学生が集まり環境について話し合う催しで、
このときのテーマは「川の恵み」でした。
アドバイザーとして招かれた平工さんは、
長良川で行われている鵜飼、
瀬張網、ぼうちょう網漁をはじめ、
川の恵みを受けた流域の暮らしや
アユの生活史などを説明しました。
参加した学生たちは、平工さんの話を聞いて感想を発表し、
川の恵みとはなにか、恵みを受け続けるにはどうしたらよいのかについて
活発に意見を交わしました。
また別の日に岐阜市が企画した環境フェアで、
平工さんは県内で活躍する若手の竹細工や手すき和紙の職人らとともに、
ゲストとしてステージに上がりました。環境保全に関わる若い世代の代表として、
長良川で行っている漁や漁舟を使ったエコツアーなどの活動を紹介し、
未来への思いを語りました。
長良川からのメッセージを送る。
毎日を川で過ごし、
五感を駆使して魚を捕っているからできること。
川のことを熟知する漁師は、
川やそこで暮らす生き物たちの代弁者でもあるのです。
長良川の文化圏内に、
天然鮎の直売や、
長良川をイメージしたプリンなどを楽しめる
カフェをOPEN
そんな平工さんがずっと温めてきた、川文化の交流拠点をつくりたいという思いが実現し、
そのお披露目会が昨年末にありました。
生まれ育った地元の各務原市にオープンした「ゆいのふね Café」。
平工さんが家族と営む、飲食のできる川漁師の店です。
店内には大きな水槽が置かれ、長良川の生き物たちを観察することができ、
またいろんな漁具も展示されています。
お披露目会では、アユの串打ち体験や各務原にある水族館「アクア・トトぎふ」の
学芸員による出張授業などのワークショップが行われ、地元の人びとでにぎわいました。
この店では、アユの捕れる季節には、朝獲れ天然アユの販売を行うほか、
魚食普及や環境教育などの場としても活用していくそうで、
交流の輪がどんどん広がることでしょう。
魚を捕り、川のことを伝え、人びとと交わる。
長良川と生きる川漁師の挑戦をこれからも応援します。