アユ漁師は、アユの守り人でもある。
人工授精で、来年の天然遡上アユの赤ちゃんを待つ
落ちアユの卵を人工受精し、枝につけて孵化場へ。
長良川の自然が行ってきた流れの一部を、手助けする
アユの産卵が盛んな岐阜市の長良川では、いよいよ漁が終盤を迎えました。アユの季節が終わりに近づくと、人工ふ化の種付けが行われます。長良川漁協が主体となり、毎年実施しているこの取り組み。同漁協によると、アユの資源を守るための活動は、地元の漁師たちの手によって大正時代から続いているそうです。
秋晴れの朝、鏡島地区に着くと、種付けの作業が始まっていました。ベテランの漁師たちが生きたメスのアユを手に取り、慣れた様子でお腹を押さえると、黄色い液体が勢いよくびゅっと飛びだします。受けるボールのなかは、次々としぼり出される卵で、どんどんかさを増していきます。
卵にオスから採取した精子を混ぜ合わせて受精卵をつくったら、川の水で満たした大きな容器に加えて攪拌します。そこにもじゃもじゃに伸びたシュロの樹皮を浸して、卵を付着させるのです。受精卵を少し足しては新たなシュロの樹皮をもぐらせていく。透明感のある小さな卵には、新たな命が宿っていました。
卵を抱えたシュロの樹皮は、3日間くらい川のなかに沈めておき、それから河口堰の近くにある人工河川まで運び移します。堰によって川の流れがゆるやかになり、ふ化したアユの流下が難しくなったことから、海に降れるよう助けているのです。10日くらいの間、卵についた汚れを漁師たちが毎日交代で落とし、無事に孵るまで見守ります。
↑種付け作業した枝を、川へ沈めておく
↑河口堰の横にある人工河川に移す作業
たくさんの命をつないで育てる。人の手が加わることによって、守られているものがあります。ここで生まれたアユの赤ちゃんが、海で大きくなり、春には元気な稚アユとなって長良川をぐんぐん遡上する。そんな光景を思い浮かべました。
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関連サイト
長良川おんぱくでも、毎年アユの種付け見学の体験プログラムを行っています。(2017年秋は開催済)
▷鮎を育む瀬張り漁と種付け見学&野菜収穫体験コース-長良川おんぱく2017秋
▷体験記-おんぱく写真部体験リポート2015
▷体験記-おんぱく写真部体験リポート2014
▷体験記-おんぱく写真部体験リポート2013
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