※この記事は2016年12月22日時点のものです。ORGAN活版印刷室は移転し、現在は岐阜市湊町の「てしごと町屋CASA」内の工房にて体験を開催しています(不定期、要予約)。最新情報は▶ Facebookにて発信しています。
皆さん、2017年の年賀状はもう準備オッケーですか?
せっかく送るなら、他の人と被らない「ちょっとセンス良いもの」を選びたい!
だったらコレでしょ!ということで、ORGAN活版印刷室のワークショップに友人と参加しました。
場所は、岐阜市長良橋南詰から西へ続く港町として栄えた「川原町」からほど近い、岐阜善光寺から徒歩5分の築130年以上にもなる町屋。
狭い間口に長い奥行きという、まさに昔の日本家屋!といった懐かしい造り。
(お酒のラベルがズラリ)
(レトロな印刷物もズラリ)
そして玄関をはじめ、室内へ入ると壁一面にもズラリ!!!
そうです。活版印刷で使う「活字」です。大きさも字体も違う活字の数は、なんと10万種類以上!
ミリ単位の小さなものから、アルファベットや漢字、数字や★や♡の模様まで・・・
出番の少ない活字は、そりゃ誇りもたまります。下手に掃除機なんざかけれませんよねー。
ORGAN活版印刷室は7年ほど前、すでに廃業になった印刷会社から機材を譲り受け、開業にいたったそうです。
活版印刷は、技術の発達により衰退の一途をたどったことは言うまでもありません。
かつて長良川の水運を利用し「美濃和紙」が船で運ばれたことで、この辺り一帯には印刷会社も多かったとか。
今でも、お得意さんだけのためにおじいちゃんが週一で機械を稼働させている。なんてところもあるそうです。
(オーナーで講師の直野香文(なおのかふみ)さん)
(この面はすでに印刷済み)
では、『活版印刷で年賀状づくり』スタート。
名刺も年賀状も、美濃和紙と洋紙合わせて計50枚作成できます。(※名刺と年賀状では材質が異なります)
まずは、サンプルを参考にしながらメインのイラスト選び。直感で好みをチョイス。
同時に、印刷する位置と色も決めます。
チェイス(長方形の枠)の中に土台を入れ、その上にイラストの版を専用のりで貼り付け試し刷り。
位置や色味がイメージ通りかチェック。文字は別カラーにしたいので、外しました。
では印刷スタート!
丸いところにインクをほんのちょっと乗せ、まんべんなく伸ばしたら、一枚一枚手作業で刷っていきます。
インクの付いた版にハガキがくっつきやすいので、慎重にそっと。
手前のレバーを押すと、ローラーが動くことで版にインクがつくという仕組み。
かなり年季が入ったように見えるこの子は、日本製で50歳くらいだとか。
ガシャガシャという手動音がなんとも言えず、アナログ感たっぷり。
そして、ツボだったのがインクの缶!
ラベルはいたって普通なのに・・・蓋に型押しされた模様が天使♡ 女子はこ〜いうのにキュンときます。
しかもこのインク。ちょっとの量でも伸びが良いから、全然無くならないそうです。なんて経済的!
次の工程は文字部分。
入れたい文字の大きさやデザインを決めます。センスが問われる作業です(笑)
(柄の細い版!どれも可愛いくて迷う!)
(私真剣!)
ざっと決まったところで、その文字一つ一つの活字を拾う(探す)作業です。この膨大の中から。
何が大変って、漢字探しです。
アルファベットや数字は数が決まっているからすぐに見つかるけど、漢字は量が半端なく多い!
部首ごとに並んでいる、その場所を探すだけでも目を凝らして見つけ出すのです。ミリ単位の小さな活字を(汗)
これ、見つかった時の感動は計り知れません。まさに宝探し!
女子3人で、「やったーー!あったぁーー!!」と叫んでました。楽しかったな〜(笑)
活字が揃ったら、今度は版を組みます。
下の行から「込め物(こめもの)」と言われる、サイズの異なる鉛で隙間を埋めていきます。
真剣作業で無言になると、カチカチっと鉛がぶつかり合う音が心地良い・・・
活版印刷が栄えていた頃は、活字を拾う人、組む人、刷る人という風に分業されていたそうです。
さて組み終わったところで、ここからはプロの仕事。
実際に文字が印刷される位置でしっかりと固定。ジャッキを緩めたり絞めたりしながら絶妙な圧を加えます。
これが下手くそだと、動かしたときにバラバラっとなってしまうんだとか。緩すぎても絞めすぎてもダメなんですって。
試し刷りしながら位置を決めたら、ここからは一気に刷っていきます。
(話好き女子3人のおかげで時間押してましたw)
友人のもいい感じ♪お菓子づくりをしているので、仕事用と個人用とで刷り分けていました。
ちなみにこの機械は、イギリス製で100歳くらいだとか。現役バリバリ!良い仕事します。
そして、完成したのがこちら!ゴールドのイラストとピンクの文字。
(ちなみに、イラストデザインはORGANデザイン室のデザイナー山田さん。素敵!)
楮(こうぞ)100%で職人が手漉きで漉いた、ざらっとした温かみのある質感の「美濃和紙」と、ポコポコッとした風合いの活版印刷のコラボレーション。
すっかりデジタル印刷が当たり前の世代としては、何時間もかけて仕上げたこの一枚一枚がとても愛おしく感じます。
最後に記念撮影。
かなりおちゃらけキャラの香文さん。変顔に吹き出す私(笑)
こんな感じで、終始笑いあり女子トークありの楽しい時間。数時間があっという間でした。
『長良川おんぱく満足度No.1』と毎年言われる意味がよ〜く分かりました!
年賀状だけでなく、名刺やショップカード、チラシ、結婚式の招待状など。
【想いを込めた特別な一枚を、大切な誰かに贈りたい♪】そんな方にオススメしたい活版印刷。
きっと、あたなも体験してみたくなったでしょ?