「魚のための森」へ行ってきました

水面に落ちた虫を捕食するイワナ、
底にたまった枯れ葉を食べるサワガニ、
石に生えた苔をはむアユなど、
川の中ではいろんな生き物が、さまざまな物を食べています。
その食べ物を与えてくれるのが、森です。
食べる、食べられるという繋がりも含め、
すべては森から生まれた恵みが土台となって、
川辺の生き物たちの世界は成り立っています。

「魚つき保安林」を知っていますか?

「魚(うお)つき保安林」とは、
川や海の水の濁りを防いだり、
水温の上昇を抑えたりして、
魚が住みやすい環境をつくる森林のことです。
長良川中流域の関市下有知から小瀬にかけて、
小瀬鵜飼の場所の背後にひろがる「松尾山」一帯が、この魚つき保安林に指定されています。

長良川にそって続く、松尾山の遊歩道を歩いてみました。

あたりは自然に生い茂った広葉樹に囲まれ、
足元に積もった落ち葉は
ふわふわでやわらかな絨毯のよう。

がさがさと何かが動く物音にぎょっとし、
ちょっと怖い、真っ暗なトンネルを抜けると、
上のほうから岩肌を伝ってぽたぽたと滴る山水を見つけました。

森の養分を含んだ、この一つひとつの水滴が、
森と川を、静かにゆっくりと結んでいるのだなぁ、と感じました。

豊かな森が川を育て、たくさんの命を育みます。

森には魚が集まってきます。
水面にできた影や沈んだ倒木は隠れ家になるし、
森の土が水を蓄えることで、洪水や渇水をおさえ、
生き物が生息しやすい環境をつくってくれる。
食べ物もすみかも与えてくれる森は、
川で暮らす生き物たちにとって、大切な存在なのです。