活版印刷で手間ひまかけて仕上げる
美濃手漉き和紙の年賀状

来年の年賀状の準備はすすんでいますか?
年賀状の準備をすると、駆け足で今年も終わってしまいそうで、触れないでいたいという言い訳をしつつ、私は常に年末差し迫ったころに慌てて書いています。
なんなら年明けてから書いたり……すみません。

来年の年賀状はなににしようかと、思い悩んでいるかたも多いのではないでしょうか。
今回は、活版印刷の年賀状をご紹介したいと思います。

元気で明るい人柄の職人が手掛ける、活版印刷グッズ

一文字一文字、活字を拾い(探し)集め、版に組んで、一枚一枚刷るという、かつての印刷方法のひとつです。
昔の新聞は、みんな活版印刷だったなんて、信じられない……!
今や、全国でも活版印刷を行っているところは数少なくなっていますが、ここ岐阜市に活版印刷で名刺やショップカードを製作してくれる『ORGAN活版印刷室』があります。

初詣はたくさんの参拝客で賑わう伊奈波神社のすぐ近く、料亭や町家が立ち並ぶ通り。
築100年をこえる町家で、ORGAN活版印刷室をお一人で営む直野香文さん。

いつも元気で明るく、笑い声が絶えなくて、とても賑やか!
「おしゃべりしに来たのか、活版しにきたのかわからない」と言われるほど、
初めましてのみなさんが集まるワークショップでも、いつも和気あいあいです。

長良川デパート湊町店でも、通年で取り扱っているポストカード
「金華山」「岐阜大仏」「れんげ」に加え、今の時期は年賀状もお目見えです。
来年の干支は、戌。
私が愛してやまない柴犬がモチーフになっており、眺めては癒されています。

イラスト、デザインは、いつもほっこりかわいいイラストを描かれる
ORGANデザイン室の山田真梨子さん。
「金華山」「岐阜大仏」「れんげ」のポストカードも山田さんのデザインです。

今回、年賀状の製作工程を見せていただきました。
イラストを硬い樹脂で版にしたものと文字の版を組み合わせ、バランス良く配置します。

インクをなじませ、試し刷りを何度も行います。
ココが一番大変なんだとか。
圧を調整し、刷り具合、印刷する和紙の配置バランスなど、細心の注意を払い確認をします。

すべての調整が済んだら、いざ刷っていきます。
刷り始めれば100枚を10分~15分で刷れるそう。

葉書は、美濃手漉き和紙職人・加納武さんの美濃和紙を使用しています。
ふんわりあたたかな手触りと優しい生成色が、活版印刷の魅力をさらに引き出しているようです。
手漉き和紙ならではの柔らかさによって、きれいな凹凸を作ります。

刷りながら、「おお!いいね!!」「かわいいー!」「きれい!」と感嘆の声を上げる直野さん。
活版印刷の楽しさや一枚一枚刷ることに対する愛情が伝わってきます。

仕上がりの満足感がなにより楽しいそう。「自画自賛しちゃう!」と喜ぶ姿が目に浮かびます。

 

時間がかかったからこそ味わえる感動。”ひとの思い”をのせた年賀状

印象に残っているエピソードを教えてくださいました。
東京在住のご夫婦が、東京中の活版印刷屋に断られて、行きついた先はORGAN活版印刷室。
ご依頼の内容は、「結婚しました」のお知らせの葉書でした。
なぜ断られ続けたのか。
それは長文を、一文字一文字活字を組んで印刷すること。
文字を、イラスト同様にデーターにして版にすれば、どこの活版印刷屋も依頼を受けてくださったでしょう。
あくまでも一文字一文字の活字で印刷することにこだわられたそう。
その長文は、なんと旦那さまご自身で、おふたりのなれそめを物語にされたものなのです。
まるで本物の文庫本の1ページのようです。

そんなすてきな依頼を受けてみたものの、拾った活字の総数581個!「後悔した」と笑って話してくれました。
だからこそ、作り上げた達成感ったらなかったそうです。

納品後も交流が続いて、どんなところでどんな人が作ったのか見たいと、
東京からご夫婦揃ってワークショップを体験しに来てくださったそう。

ひとつの商品(作品)を通して、ひととひとの繋がりと温かさ、
ものの価格以上の満足感や価値が大きく膨らんで、とても大切にしたいものになる。

作るひと、渡すひと、受け取るひと、(配る人)
それぞれのあたたかい思いをのせた年賀状。
来年の年賀状は、活版印刷にしようかな。

 

関連商品:
活版印刷の年賀状【2018年・柴犬】 5枚セット 2,160円(内税)

長良川デパート 湊町店
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 TEL.058-269-3858