たくさんのウナギがすめる川を取り戻す
伝統漁法を活かしたウナギのすみかを川のなかにつくる取り組みが、全国の河川で進んでいます。
ウナギは、乱獲や河川環境の悪化による生息場の消失などから、資源が大きく減っていると言われています。
うなぎ漁のしかけを使って、川の生き物たちを調べます
編んだかごに石を詰めた蛇籠と、石を積み上げて隠れ場所をつくりウナギを捕まえる石倉漁を合わせて考案された「石倉かご」。
このかごを川のなかに沈めて、ウナギをはじめ、いろんな生き物の生息場にしようという試みが岐阜県でも行われています。
石倉かごが設置されている、長良川に注ぐ武儀川。
どんな生き物がかごのなかに入っているのかを確認するモニタリング調査が、地元の美山漁協によって朝から行われました。
ウナギは見つかるのか、どんな生き物がどれくらい隠れているのだろう。
わくわくしながら山県市の現場に着くと、ショベルカーが大きな石倉かごを川のなかから河原に引き揚げて、調査が始まろうとしていました。
漁協の組合員らが、石倉のかごから一つひとつ石を取り除いていきます。
石と石のすき間には、夏の大雨で流された砂礫がびっしり詰まっていて、水で流しながらの作業です。
たまった砂礫のなかをかき分けていくと「あっ、いた」「何かおる」
小さな魚や水生昆虫がどんどん見つかり、あちこちから驚きの声があがります。
川のプロたちも、いつもとは違う体験になんだか楽しそうです。
気づいたら作業の輪に加わり、夢中で生き物を探していました。
魚やカニの他に、ミミズやカメムシ、ムカデのような姿をした、初めて見る小さな生き物たちを手に取ってみる。
たくさんの命が暮らす、川のなかの世界をちょっとのぞくことができたような気がしました。
前回の調査では1匹のウナギが見つかりましたが、今回は確認できませんでした。
それでもヨシノボリ、ヤツメウナギ、ヤゴなど、
引き揚げた3つの石倉かごからは、10種ほどの生き物を多数確認することができました。
次の調査でウナギは見つかるのでしょうか。
ウナギのすみかづくりのこれからに期待がふくらみます。