特集|長良川おんぱくでみつけた素敵なストーリー

ホンモノだけを追求した和綴じ製本アイテムを生み出す
職人のものづくりへのこだわり

発注すれば、いつも翌日仕上げ。
いつもネクタイをビシッと締めて、丁寧な対応と親しみやすいお人柄が印象的な、
製本「有文堂」の有藤俊二さん。
有藤さんのお顔を拝見しない日を数えたほうが早いのではないかというくらい、
長良川デパート湊町店に誰よりも足を運んでくださる職人さんです。

今秋の長良川おんぱくでも、和綴じ製本の体験ワークショップを行ってくださいます。

今度はこちらから有文堂の工房に訪ねてみました。
岐阜市役所のすぐ近く、まちなかにあります。

まるで本そのもの。和綴じ製本でスマホケース!?

和綴じノート、ご朱印帳だけでなく、大人気のミニ本ストラップ、iPhoneケースに豆本イヤリングまで、常に新しい商品を作り出していらっしゃいます。

iPhoneケースと、日本一小さな豆本のイヤリング。
イヤリングになっている豆本は、こんなに小さくてもひとつひとつ糸で綴じてあるので、ちゃんと開くんです!

一見、本を読んでいるように見えますが、実はiPhoneケースなんです。
最新電子機器に、手作業でしか作れない昔ながらの和綴じ本。このギャップが面白いですね!
古典的な和柄のてぬぐいが使われているのも、また渋くていい感じです。

 


↑大切な仕事道具のハサミ。刃物のまち・岐阜県関市で特注で作ってもらっているのだそう。

左の筒状の金具は、iPhoneケースのカメラの穴をくり貫く道具。有藤さん手作り。
ホームセンターなどに行っては、使えるものはないかと探しているそうです。
仕事道具は何でも自分で作っちゃう!


↑和綴じ本の歴史がわかる6種類の見本帳。

6冊まとめて収納できる専用の箱も、有藤さんの制作。見ているだけでもわくわくします!

随所に見え隠れする手作りへのこだわり。

どんなに小さな本でも糸を使い、手縫いで作ることが有藤さんの強いこだわり。

「ニセモノは嫌、本物を作りたい」
お前は頑固だと言われてきたそうです。

創業130年、3代目の有藤さんは職人歴60年!
中学卒業後すぐに跡を継ぎます。
先代のお父様は大変厳しく、よそ見でもするものならば、ものが飛んできたといいます。
仕事は「見て盗め」と教えられたそうです。
「今でも毎日寝る前に、明日の仕事の段取りを考えてから寝る。
これだけやると決めたら、やり遂げるまで寝られない」

背筋が伸びる思いです。

工房にある機械を見せてくださいました。これは、洋紙を折る機械。
豪快な音とともに目に見えぬ速さで紙を折っていきます。
しかし、和製本は70%が手作業。
機械が和紙に向かないことや、量産するわけではないことから、手作業のほうが早い。
だから、そもそも和製本用の機械が作られていないのだそうです。

誠実で涙もろい。そしてバイタリティ溢れる人柄

5年前、初めて浅草神社で和綴じノートのワークショップを開催。
「みなさんが喜んでくれた姿を見て、感動して涙が出ちゃったよ」
と話しながら、当時を回想して思わず涙ぐんだ有藤さん。

有藤さんの仕事に対する誠実な思いがぎゅっと伝わってきて、こちらも熱いものが込み上げてきました。

今や、和綴じノートやご朱印帳づくりのワークショップが人気で、各地から呼ばれて大忙し。
以前私たちにもワークショップをやっていただき、事務所の女子スタッフ全員が参加しました。

本物であるこだわりと、新しい商品を作り出すバイタリティ、そして探究心。
それは趣味にも表れていました。
カメラ歴40年、陶芸、熱帯魚、盆栽、釣り……と多趣味。

休みの日には「明け方から琵琶湖まで釣りに行ってきた」と、釣った魚を届けてくださったこともしばしば。

有藤さんのように何事にも誠実に、真剣に、謙虚に。とことん楽しむ。
私もそんな大人になりたい!と思ったのでした。

 

関連商品:

和綴じ本のiPhoneケース 5400円+税

長良川デパート 湊町店
〒500-8009 岐阜市湊町45(ぎふ長良川鵜飼 乗船場すぐ)
 営/10:00-18:00  休/月(不定休)
 TEL.058-269-3858

有藤さんに教わる、和綴じ製本体験