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今日の惚れぼれ

手仕事だから表情がある。一軒の工房のみで作られている、長良川の鯉のぼり

美濃和紙のコイや、深い染めが引き立つ黄色いコイ。長良川流域で受け継がれている、ここにしかない「鯉のぼり」 2選。小原屋商店の『のぼり鯉』(岐阜市)と、渡辺染物店の『郡上本染鯉のぼり』(郡上市)をご紹介します。

受け継がれる、ここにしかない「鯉のぼり」 2選。
美濃和紙のコイや、深い染めが引き立つ黄色いコイ

長良川流域ならではのとても魅力的な鯉のぼりがあるんです。
和紙でできた、小原屋商店の『のぼり鯉』(岐阜市)と、
寒晒しの光景で有名な、渡辺染物店の『郡上本染鯉のぼり』(郡上市)です。

小原屋商店の『のぼり鯉』(岐阜市)
辺染物店の『郡上本染鯉のぼり』(郡上市)

5月5日は、端午の節句。
ゴールデンウィークの祝日でもある「こどもの日」ですね。

端午の節句にまつわるアイテムといえば?

思いつくだけでも、兜、鎧、鯉のぼり、菖蒲、ちまき、柏餅といろいろありますが、その中でも今回は鯉のぼりをご紹介します!

なぜ鯉のぼりが飾られるようになったのか知っていますか?

鯉は清流だけでなく池や沼でも生息することができ、非常に生命力の強い魚ですから、
どんな環境にも耐え、立派に成長するようにと、子に願う親の思いが込められているのです。
日本らしい四季折々の行事は、意味を知ると物・事・人を大切に思う豊かな心を感じますね。

1全国で唯一、美濃和紙で作られている、手作りの鯉のぼり。
小原屋商店の『のぼり鯉』(岐阜市)

小原屋商店の『のぼり鯉』店頭風景

小原屋商店の『のぼり鯉』は、玄関、和室やリビングなど室内どこでも好きなところに飾ることができます。
最大の特徴は、美濃手漉き和紙でできていること。

『のぼり鯉』は、岐阜県伝統工芸品に認定されています。

かつて岐阜市の長良橋の麓は川湊であり、長良川水運で美濃から美濃和紙が運ばれてきたことによって、今もなお作り続けられている和紙を使った伝統工芸品のひとつです。
和傘、提灯、団扇にのぼり鯉。
どれも共通する主要な素材は『和紙』というわけです。

子どもの健やかな成長と出世を願う

すべて手作業で作られる『のぼり鯉』。
まず、楮100%の美濃手漉き和紙を揉みこんで柔らかくします。
柔らかくすることによって、布のような立体的な形状にしやすくなり、しわによるぼかしを生かした深みと躍動感のある表情に仕上がります。
丈夫な美濃和紙ならではですね。

さらに特徴的なのは、色。
古代中国の「五行説」の5色である青、赤、黃、白、黒のみで描かれてれています。
お父さんは黒、お母さんは赤、子どもは青と表現されることが多いですが、本来は黒のみで色が使われるようになったのは明治以降とのこと。
たとえば黄色は天に結びつく色と言われ、天にも昇る出世を願う気持ちが込められているそうです。

色に思いが込められ、親が子を思う心が鯉のぼりに表現されているのですね。

全国で唯一美濃和紙で鯉のぼりを作っている小原屋商店は、450年の歴史があり、かつては油紙や花合羽を作ってきました。
油紙は、和傘の頭の部分「かっぱ」など雨具に使われたり、生花を包んだり、日常で使われてきた防水用のアイテムですが、今はなかなか見られなくなりました。
和紙に模様を描き油をひいた紙を、長良川の川原一面に干す風景が見られたそうです。

十三代目にあたる小原屋商店の河合俊和さんは、
のぼり鯉に、子どもたちが元気であるようにと願いを込め、
「力強さ」を大切にして作っているといいます。

2013年の長良川おんぱくでも、子どもたちがのぼり鯉を作るプログラムを開催していただきました。
子どもたちが自由に描くのぼり鯉は、とても表情豊かで魅力的です。
そして満足そうな子どもたちの表情……!
今年の長良川おんぱくでも開催していただく予定です。
お楽しみに!

2冬の風物詩『寒晒し』によって、鮮やかな発色を生み出します。
渡辺染物店の『郡上本染鯉のぼり』(郡上市)

もう一つの鯉のぼりは、
郡上八幡にただ一軒残る染物屋「渡辺染物店」で作られている郡上本染めの鯉のぼりです。

「水の町」と言われる郡上八幡。
郡上本染めは豊かで美しい川によって育まれてきました。

郡上八幡の冬の風物詩となっている寒晒し(かんざらし)。
毎年大寒の日に行われています。
郡上本染めの手法である「カチン染め」により染め上げられ、
鯉のぼりの糊を洗い落としながら、冷たい川の水に晒すことにより、顔料が鮮やかな色彩になるそうです。

大きな郡上本染めの鯉のぼりは、屋外に飾られると、風になびいて大空を泳いでいるようです。
天日にさらされても、退色しにくい美しい発色が特徴です。

清々しい爽やかな5月の晴れた空に、色とりどりの鯉のぼりがなびく風景も風情がありますね。

受け継がれてきた手仕事に込められた思い

小原屋商店の河合さんに、自身の小学生時代の長良川や金華山での遊びかたのお話を伺っていると、
当時の豊かな自然と、近所の大人たちとの関わりがとてもあたたかく、情景が目に浮かび楽しい気持ちになりました。

今も昔も変わらない、親が子に思う心と作り手が込めた思いをのせた『鯉のぼり』。
清流長良川とともに、大切に受け継いでいきたいものです。

2018-05-05

今日の惚れぼれ枠フッター
河口 郁美

長良川デパート湊町店店長・ORGANキモノ着付師
岐阜に移住して6年目。独自の自然、文化に魅了され続けています。

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