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水に遊ぶ小さな命への、優しい眼差し
日本画家・神戸智行と長良川

長良川×アーティスト特集

神戸智行かんべ ともゆきさんの描く日本画で、
子ども心に刻まれた水辺の記憶が、鮮やかに動き出す。

 こんにちは。かつてデザイナーとして伝統工芸に携わっていて、
今は長良川おんぱくなどの観光まちづくりをしている蒲勇介です。

 神戸智行さんという新進気鋭の日本画家と偶然出会ったのは、
岐阜大仏のすぐ近くの「光芳堂」という画廊でした。
8年ほど前だったと思います。
光芳堂さんでの展示のため、神戸さんが在廊していたタイミングに、偶然覗いたのです。

いつもの時間 最も豊かな長良川の情景

(2016(感謝の会)神戸智行「いつもの時間」12F)

 作品を見た瞬間に「ああ、これは長良川だ」と分かりました。
他のどんな画家にも描けない印象的な青く透きとおった水の色と、
陽に照らされ白く輝く夏の砂礫川原。そこにちょこまかと遊ぶ小さな生き物たち。
そのシリーズに名付けられた「いつもの時間」というタイトルからは、
神戸さんご本人がじっと川原に佇んで、彼ら生き物に優しい視線を注ぐ情景が思い浮かびます。

 聞けばやはり、神戸さんは岐阜市の長良川沿いのまちで生まれ育ったとのこと。
僕は一瞬で彼のファンになりました。
画題にも、タッチにも、日本画家としてのチャレンジフルな姿勢にも、
自らのルーツへの視線も、そのすべてに共感し、惚れ込んでしまったのです。

(2016日経FC6月神戸智行「いつもの時間」6F)

 彼の作品に登場するのは、カタチだけを模写した生き物ではありません。
サワガニも、カワヨシノボリ(チチコ、うるり)も、メダカも、モロコも、
中にはめったに見ることのできないアユカケなんていう珍しい魚も。
いずれも長良川に実際に息づく彼ら生き物の生態を観察し、調べ、
驚くほどの知識を身につけ最後にキャンバスに昇華させています。

 その小さな生き物たちを通して、命を育む自然や世界のダイナミズムを
伝えようとしているのだと、神戸さんはおっしゃいます。アカン。泣けてきた。

和紙のあわいに泳ぐ魚たち

(2016(感謝の会)神戸智行「陽のあたる場所」12F)

 神戸作品に初めて会った僕にとって、さらなる衝撃を与えたのが、
東京の展示会から運び入れたばかりの「陽のあたる場所」シリーズの大型作品でした。

 水面に浮かぶハスの葉はビビッドに、
そして水に潜るカエルやおたまじゃくしやドジョウやザリガニ達は、
うっすらベールがかかったように淡くなっています。
なんとこれ、和紙を透過させて水深を表現する技法なんですって!
下地キャンバスに泳ぐ生き物を描き、薄い和紙を重ねて水面の葉や生き物を描く。
薄い和紙の質感が、湖中のあわいに見えてくる。
水から生まれた和紙にこんな使い方があったなんてもう!
 

(2016(個展)神戸智行「色づく水面」30P)

日本画を通して、過去と未来に広がる長良川の世界

 神戸さんとはその後も長良川おんぱくでのアートワークショップや

岐阜メディアコスモス・みんなの図書館おとなの夜学での
トーク&ライブドローイングなど、
ことあるごとにお会いして、ご無理をお願いしています。

 そして多くの人に、彼の作品世界を通して、過去と未来に広がる長良川の豊かさを
知ってもらいたいと思っています。
 神戸さん、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。

 それではそろそろ、僕の一方的なファンレターは終わりにしたいと思います。
ところで神戸智行氏は決して長良川だけを描いているわけではありません。
ふと周りの自然に目を向ければ、出会える小さな命の風景に、気づかせてくれる。
そんな絵を描き続けています。
 ここからはその豊かな作品世界を、しばしご堪能ください。

2016(個展)神戸智行「透明な自分」6M

2016(個展)神戸智行「目覚めの季」6F

2016神戸智行「終わりなき旅」12F

2016日経FC2月神戸智行「ゆれる」6F

2016日経FC5月神戸智行「ソライロ」6F

2017(日本画山脈展)神戸智行「星のカタチ」162.1×162

2016神戸智行「ハナモヨウ」12F

2016神戸智行「アカネモヨウ」12F

 実は今、神戸さんとは、長良川に関するあるプロジェクトを一緒に始めているんです。
間もなく発表できる予定。しばらくお待ちください!

< 神戸智行 / tomoyuki kambe >

日本画家。1975年、岐阜市生まれ。多摩美術大学大学院修了。身近な自然や生き物を描いた「イノセントワールド」シリーズを展開して注目を集め、個展を中心に国内外で活躍を続ける。2008-’09年文化庁在外研修員として米国ボストンにて研修。福岡県太宰府市在住。

©2017 神戸智行 tomoyuki kambe
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2017-12-22

meetsフッター
蒲 勇介

ファシリテーター/デザイナー/プロデューサー。
郡上市に生まれ、岐阜市に育つ。
フリーペーパー「ORGAN」の取材中に出会った岐阜の伝統工芸品「水うちわ」の再生をきっかけに、長良川流域のつながりの中にこのエリアのアイデンティティを見出し、流域をつなぐ観光まちづくりに取り組む。

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