夏は、郡上の藍染めの最盛期。
冷たくて酸素の多い水が、美しく深い青を生み出します。

藍染の色は、ジャパンブルーとも呼ばれる味わい深い青。男女問わず多くのひとが魅かれます。
天然染料は植物の葉や実、樹皮などから色素をいただくので、一般的には茶色など暖色系の色合いが多いなか、青色を出す植物はとても珍しいのです。本物の藍で染めた服には、夏に嬉しい防虫・防火効果や、生地の補強効果があります。
身近な藍染ですが、染料がどのようにできるのかご存知の方は少ないのではないでしょうか。

先日、郡上八幡の「郡上本染 渡辺染物店」と、郡上石徹白(いとしろ)の「石徹白洋品店」に伺ってきました!

藍染が栄えた郡上八幡。藍染に適した環境とは?

15代目渡辺一吉さん

15代目渡辺一吉さん

渡辺染物店は430年の歴史があり、息子の一吉さんで15代目。「郡上本染」は岐阜県無形文化財にも指定されています。
藍染は酸化によって青く発色します(水中酸化と空中酸化)。郡上本染では、染め場の目の前の用水路に酸素の多い冷たい水が流れており、水中酸化に適しているため、発色がよいのだそう。
染色に適した環境である上、10回以上染め重ねられた深い深い濃紺がなんとも美しいのです。
また経年変化によって色落ちしていくさまが、味わい深い風合いとなります。藍染ならではの醍醐味ではないでしょうか。

かつては17軒もの藍染専門店があったという郡上八幡ですが、今では渡辺染物店の一軒を残すのみとなっています。

この秋、渡辺染物店が長良川おんぱくに初参加!満を持して郡上本染のプログラムが開催されます!ぜひお楽しみに♪

藍の収穫真っ盛り!

郡上八幡からさらに北西の山あいにある石徹白(いとしろ)地区の石徹白洋品店では、ちょうど藍の収穫が行われていました。
藍は、春に種をまき、夏に収穫し、葉を発酵させ、ようやく染料になるという、実は大変手間暇のかかる素材です。
また染料にしてからも、温度管理や手入れを徹底しなければ、美しい藍色は出ないのです。
石徹白洋品店では、この地で藍を育て染料にし、糸を染め布にし、衣類に仕立てるという、かつての人々が行っていた取り組みを再生しようとしています。
とても崇高な空気を感じて、私も清々しく思いました。

藍を刈ったあとは、葉と茎に分けていきます。

染料となる藍を刈ったあと。

発酵している生きた染料だからこそ生みだされる色の美しさと、染めるひとの思いと手間が込められた藍染。ゆえに長い歳月、人々を魅了してやまないのだなとしみじみ感じました。

持ち込んだ美濃手漉き和紙を染めていただきました。
破れてしまったけれど、手漉きならではの風合いは青空のよう。

ちょうど衣類を染めてみえました。酸化中。
手は真っ青だけれど、これも勲章ですね。

藍染の和傘を作りたい!

実は「長良川流域で藍染された和傘を作りたい!しかも美濃手漉き和紙で!」
という私の思いのもと、
美濃手漉き和紙を染めていただくことができるのか、ご相談しに伺ったのでした。
夢は実現成るか!もう楽しみでなりません。