深い色彩をつくり出す吉田川の清流と伏流水

江戸時代から続く郡上本染めの技法を守る渡辺染物店。吉田川の清流と伏流水は美しい染色に欠かせません。「藍染め」は、藍の染料に生地を浸しては店の前の水路で洗い、天日干しする作業を繰り返して染め上げます。「冷水が生地の目に入り、藍が酸化して発色します」と渡辺一吉さん。大豆の搾り汁と顔料で染める「カチン染め」のこいのぼりは、大寒の日に吉田川で糊を落として生地を締めます。「染物は天気8割、材料1割、技術1割やから」と14代目の庄吉さん。自然とともにある伝統技術です。

郡上 渡辺染物店

住/郡上市八幡町島谷737
電/0575-65-3959
営/9:00~20:00 休/不定休
交/東海北陸自動車道郡上八幡ICより車5分
HP/www.gujozome.jp

受け継いだ技で岐阜の伝統行事を守る

ぎふ長良川鵜飼と小瀬鵜飼になくてはならない道具が、鵜を運ぶ「鵜籠」。山から切り出した竹を細長い竹ひごにして、目が均一になるように編み込みます。唯一の職人だった石原文雄さんが平成23年に引退し、その伝統を次代につなげようとNPO法人グリーンウッドワーク協会竹部会の鬼頭伸一さんと前西千寿香さんが技術習得に邁進。1300年以上続く行事を支えています。

岐阜県立森林文化アカデミーの教員や当時在籍していた鬼頭さんを中心に技術継承に尽力。前西さんは鬼頭さんから手ほどきを受けて竹細工を習得しました。

竹細工の魅力を伝えるため、一般の方に向けた体験講座も開催しています

郡上八幡から全国に広がった何にでも刷れる印刷技術

布や木などにも印刷ができ、多くの製品に使われているスクリーン印刷は、郡上市の地場産業です。昭和27年、謄写版原紙を作っていた郡上八幡の「美濃紙業所(現ミノグループ)」と、この技術を確立した岩手県出身の菅野一郎氏が業務提携。この地で、ほぼ無償で希望者に技術指導しました。今では郡上八幡にこの印刷技術を体験できる工房などもあります。

崇高なる刀鍛冶と、刃物産業

武具としてだけでなく、神聖なものとして崇められてきた日本刀。関市の刀鍛冶は鎌倉時代に始まり、室町時代には「折れず、曲がらず、よく切れる」と評され、一大生産地になりました。長良川と津保川の水運、鍛冶に必要な豊富な水、松炭があったことが背景にあります。実戦的で力強いこの日本刀は柔らかい鉄を堅い鉄で包む「四方固め」によって、堅くて曲がらず、柔らかい鉄が衝撃を吸収します。関市重要無形文化財保持者の刀匠尾川光敏さんは「刀鍛冶は勘仕事。体で覚えるだけ」と、厳しくも崇高な仕事を語ります。

戦後は工業用刃物の生産が中心となり、現在では医療用メスなどで国内トップシェアを誇る関市。鋼を熱する炎、鍛え抜かれた鉄の煌めき。古来の日本人の精神性がそこには宿ります。

関鍛冶伝承館では関鍛冶の700年の歴史を展示。毎月、古式日本刀鍛練を公開しています。

関 関鍛冶伝承館 s

住/関市南春日町9-1 電/0575-23-3825
営/9:00~16:30 休/火曜日・祝日の翌日(いずれも祝日の場合は営業)
料/高校生以上200円、小・中学生100円 P/20台
交/長良川鉄道越美南線刃物会館前駅より徒歩6分

世界初の刃物博物館・フェザーミュージアム

関 フェザーミュージアム s

住/関市日ノ出町1-17
電/0575-22-1923
営/9:30~16:00
休/火曜日(変更あり)
P/10台
交/長良川鉄道越美南線刃物会館前駅より徒歩4分
HP/www.feather.co.jp/jMuseum.htm

  • 刀匠吉田研氏が奥深さを伝授

    「かつての日本では、鉄作りは食事の次ぐらいに大切なものでした」。そう熱く語るのは、加治田刀剣の刀匠吉田研さんです。日本人の心の拠り所だった本物の日本刀の文化を伝えるべく、吉田さんは「関鍛冶伝承館」などでその奥深さを実感できる講座を開いています。日本刀解説をはじめ、古式日本刀鍛練の実演見学会、槌打ちや日本刀手持ち体験などを実施。
    吉田さんは平成24年に長良川で集めた砂鉄を古来のたたら製鉄法で溶かし、日本刀を製作。「親から嫁ぐ娘に贈る“嫁入り短刀〟の風習から分かるように、日本刀は大切なお守りでもあります」。吉田さんの工房では小刀作り体験もできます。

A 古式日本刀鍛練実演見学・大槌打ちや鞴(ふいご)の体験・日本刀手持ち体験・日本刀製作工程や日本刀の解説など 料/一式50,000円 場所/関鍛冶伝承館

BA 小刀作り体験 ※桐箱付1点持ち帰り料/5人一式 1人35,000円 場所/関鍛冶伝承館・加治田刀剣
※体験内容の詳細はお問い合わせください

美濃加茂 加治田刀剣
住/加茂郡富加町加治田912-1
電/0574-54-2619
HP/www.kajita-token.com/

ミソノ刃物の包丁

プロの料理人も絶賛する鋭い切れ味が持ち味。とても軽いことから日常使いしやすい包丁です。ミソノ440三徳庖丁(14,600円・税抜)。

サンクラフトのミート&ブレッドナイフ

ギザギザした刃先で固いパンはもちろん、柔らかい食材もスッと切れます。テーブル上で使えるサイズ感も魅力。ミート&ブレッドナイフ(1,600円・税抜)

長谷川刃物の爪切り

卵型のフォルムが握りやすく、机に置いて押すだけでも使えるユニバーサルデザインです。切り心地抜群。Nail+ ネイルプラス(1,998円)。

  • 関 刃物会館 s

    住/関市平和通4-6
    電/0575-22-4941
    営/9:00~17:00
    休/年末年始 P/20台
    交/長良川鉄道越美南線刃物会館前駅より徒歩2分
    HP/www.seki-japan.com/