「野生の起業家」インタビュー 美濃③

リスクを恐れず突き進む! ワクワクする挑戦で美濃をもっと元気に

製紙会社代表/岐阜県美濃市

辻 晃一(つじ こういち) さん

せっかく住むなら楽しい町に

家業として機械漉(す)き美濃和紙メーカー「丸重製紙企業組合」で3代目代表理事を務める辻晃一さんは、この美濃和紙製造の新たな展開として、美濃市のまちづくりを事業として行う「みのまちや株式会社」を設立し、“うだつの上がる町並み”を中心としたエリアの活性化を積極的に行っています。

辻さんは、地域を盛り上げたい、そして経済を活性化させたいという強い思いをもち、さまざまな企画を手掛けてきました。丸重製紙企業組合の直営店「和紙専門店Washi-nary」は、同社で製造された和紙原紙や和紙雑貨のほか、美濃の手漉(す)き和紙職人の和紙も取り扱う世界最大の和紙専門店です。美濃和紙の美しさや手触りを体感しながら様々な和紙製品を手に入れることができる点が、観光客から人気です。また、美濃の様々な和紙職人の作品と使い手とをつなぐ存在として、地域の人々にとっても大切な存在となっています。

また、町並みにたたずむ古民家を改修したホテル「NIPPONIA美濃商家町」も、辻さんによる町の活性化に対する取り組みの一環で建てられました。古い町並みの落ち着いた雰囲気と、古民家特有の温かい空気感を味わえることから、国内外問わず幅広い観光客から人気です。

このような取り組みには前例がありませんでしたが、辻さんは構わず進み続け、時に地域の人たちをも巻き込みながら、町の活性化に対する信頼と実績を重ねていきました。
現在も様々な方法で、美濃に残る伝統的な町並みを次世代につないでいこうと日々挑戦を続けています。

では、なぜこれほどまでに様々な挑戦に恐れず突き進めるのでしょうか。

その原動力になっているのは、「このままでは地域が衰退してしまう」という強い危機感でした。
“美濃市生まれ美濃市育ち美濃市在住の生粋の「美濃の人(じん)」”である辻さんは、大学進学で上京。その後も都内のベンチャー企業で働き、都内で暮らしていました。その中で、父から家業引き継ぎの声掛けもあり、ふたたび美濃市に目を向けた辻さんは、美濃和紙をはじめとする美濃ならではの伝統文化や産業が、存続の危機に瀕していることを目の当たりにします。

一度、地元を出ていたからこそ客観的に見ることができた美濃の現状。そして、都会に出たからこそ気付けた、美しい川や町並みなど本来からある魅力。
町を出てしまう人も少なくない中、辻さんは「出ていった人たちを後悔するぐらい良い地域にしてやろう」と奮い立ち、家業でもある美濃ならではの伝統、美濃和紙を中心として町を活性化していこうと決めたのでした。

小さな会社からスタートして、知名度を上げ、上場していくその過程をベンチャー企業時代に身をもって体感していた辻さんは、その裏にある地道な努力も知っています。だからこそ、辻さんは「もっとこんな町にしていきたいな」「これが実現したら、もっとすごいじゃん!」と思えるワクワクを町の中に見つけては、まず行動に移し、事業として町の活性化を進めることで、描いた理想を実現していきました。

「美濃をもっと元気に」。
その一心で、今日もリスクを恐れることなく果敢に挑戦を続けている辻さん。その勇気や行動力に心打たれた人々が、辻さんのもとに集まっています。

学習者の皆さんへ

「自分の中にある、“本当の生きる目的”を見つける作業をしてほしい」。

辻さん自身も、ある時気付いた危機感を起点に、日々ワクワクしながら町の活性化に取り組んできました。だからこそ、周りの意見はあくまで参考としながら、まずは自分の中にある想いを見つけて「自分軸で生きること」に大切さを感じているのだといいます。

特に学生のうちは、周りの大人から色々な意見や話が耳に入ることがあるでしょう。辻さんはそうして「様々な意見を聞くことも大事である」としたうえで、最終的には自分の中にある軸を見つけて進んでいくことをおすすめしています。

今回のワークブックでも、野生の起業家たちから様々な考え方や、各人の生き様を学んできました。
これらの学びも、ぜひ自分の軸で生きていくための参考として活用するという気持ちをもって、様々な意見に触れてみてください。

〈 関連リンク集 〉

■『丸重製紙企業組合』公式サイト
https://www.marujyu-mino.com/

■『NIPPONIA 美濃商家町』公式サイト
https://nipponia-mino.jp/

■「空家の数だけ夢がある」古民家再生事業で美濃市の空家0を実現します│みのまちや株式会社
PR Times
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/local/page23_003559.html